最高裁判所第二小法廷 昭和42年(あ)906号 決定 1967年11月25日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
弁護人渡辺喜八、同坂上富男、同西田公一、同小島成一の上告趣意第一章第一部第一点ないし第五点は、いずれも事実誤認、単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない。
同上告趣意第一章第二部第一点ないし第五点は、原判決の憲法(一四条、二一条、二八条、三一条)違反をいうが、その実質は、本件逮捕行為につき違法性阻却事由は認められないとした原判決の認定、判断の不当をいうものであって、事実誤認、単なる法令違反の主張に帰し、適法な上告理由にあたらない(なお、かりに論旨主張の如く新潟鉄道管理局側に第二組合の育成、団体交渉の拒否等の不当労働行為や公安官のいわゆる不当使用があり、また長谷川助役による本件ビラのはぎ取りが国鉄労働組合の権利ないし自由に対する不当な侵害であったとしても、原判決の認定した被告人らの所為は明らかな暴力の行使であって、労働組合の正当な行為にはあたらないものというべく、本件逮捕行為につき違法性阻却事由が認められないとした原判決の結論は相当である。)。
同上告趣意第二章第一部は、事実誤認の主張であり、同第二部は、原判決の違法(一四条、二八条)違反をいうが、その実質は、清野被告人の本件暴行の所為につき違法性阻却事由が認められないとした原判決の認定、判断の不当をいうものであって、事実誤認、単なる法令違反の主張に帰し、いずれも適法な上告理由にあたらない。
また、記録を検討しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)